■エンタメ|日活ロマンポルノの復活 現代に70年代の熱い情熱は蘇るか

ent15050212500010-p1

新ロマンポルノは、日本映画界に喝を入れるか

 70年代に日本映画界に登場した日活ロマンポルノが、久しぶりに復活だそうである。ロマンポルノ生誕45周年を機に「ROMAN PORNO REBOOT PROJECT」というのがスタートした。

 ロマンポルノは、70年代に映画不況を迎えた日活が起死回生の策として打ち出したものだった。日活は、50年代〜60年代には石原祐次郎や赤木圭一郎、吉永小百合や浅丘ルリ子など、その他多くのスターを生み出して好況を呈したが、やがてテレビの普及とともに経営難となっていた。

 日活は1971年8月、一般映画として「八月の濡れた砂」(藤田敏八監督)を最後に、同年11月にロマンポルノ路線をスタートした。その第1作が『団地妻 昼下りの情事』(白川和子主演)だった。(併映作品あり)

 ロマンポルノは低予算で製作されたが、女性の裸とからみのシーンを入れさえすれば、その内容や演出は比較的自由にできたといわれている。当時の日活には、若手の優秀な監督が多くいて、かれらはかなり自由に作品を作りはじめた。

 現在の日本映画の多くは、漫画などを原作にした作品が多く、オリジナル脚本はあまり見られない。しかし、当時のロマンポルノは監督や脚本家が自由に発想したオリジナル性の豊かな作品が特徴となっていた。

 ポルノという特殊性を除けば、唯一無二の作品性がそこにはあった。

 日活ロマンポルノの復活は、いわば監督や脚本家の独自性がある作品の復活を意味しているに違いない。これを機に漫画原作ばかりの日本映画界に新しい潮流を起こせるか、それが期待される。


藤田敏八監督「赫い髪の女」オープニング

9cc23dbd19dffb62787c5d2be99b9d90
記念すべきロマンポルノ第1作

現代の俊英監督が揃う、新しいロマンポルノ

 今回、新しいロマンポルノを制作するのは、いずれも俊英な才能を発揮して日本のみならず世界でも認められた監督ばかりとなっている。

日活ロマンポルノ復活 21世紀の新たな“エロス”に世界も注目
 生誕45周年を迎えた成人映画レーベル「日活ロマンポルノ」のリブート(再起動)プロジェクトは、3月に始動し、新作のメガホンをとる5人の監督陣が発表された。塩田明彦のほか、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲という日本映画界を牽引する監督が結集し、新たな“ロマンとエロス”を世に送り出す。

<新作ロマンポルノの監督たち>
塩田明彦…「黄泉がえり」「どろろ」
白石和彌…「凶悪」
園子温…「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」
中田秀夫…「リング」「仄暗い水の底から」
行定勲…「世界の中心で、愛をさけぶ」「真夜中の五分前」

 この監督たちは現在の日本映画界を担っていると思われるが、70年代のロマンポルノで傑作をものにした神代辰巳や田中登、藤田敏八などの監督と比較して、どのような作品を作り上げるかが興味あるところである。

 ちなみに今回制作する各監督のテーマと概要は以下のとおりとなっている。

<テーマと概要>
塩田監督…バトル/奔放な女と翻弄される男の躍動感あふれる駆け引きを軽妙に描く

白石監督…社会派/現代社会を生きる女たちをジャーナリスティックな視点で描き、田中登監督作「牝猫たちの夜」にオマージュを捧げる

園監督…アート/極彩色のファンタジックな世界観で、少女の妄想と現実が入り乱れる物語を、アナーキーかつ過激な表現で描出する

中田監督…レズビアン/師匠・小沼勝へ敬意を込め、旧作の魂を継いだレズビアンの世界に挑む

行定監督…ロマンス/自身がこれまで描き切れなかった愛の本質、すなわち性愛を、切なく官能的な大人の愛を通して描く

 70年代のロマンポルノを知らない現代の若い人たちは、ポルノということでAVと同義と思われるかもしれない。しかし、それは似て非なるものであるのは間違いない。ロマンポルノに女性の裸は付き物であるが、それよりも時代を切り取るドラマ性の方が強く、当然作品には作家性が濃厚に漂っている。

 新しいロマンポルノも、監督たちの顔ぶれを見れば、70年代当時の作品に匹敵するか、それ以上の作家性を発揮した作品となるに違いないと思われる。

 この新しい作品は、2016年冬から順次公開されるそうだ。

ロマンポルノ旧作の一部作品が、R18+からR15+へ変更された
 12年に日活創立100周年記念として行われたロマンポルノ特集上映では、若い世代や女性など新たな観客層の開拓に成功。人間の本質に迫る描写や社会性の強いテーマ、その時代の文化・風俗を反映していることなどから、ロマンポルノを再評価する機運が高まっている。

 そこでこのほど旧作の映倫区分の再審査を申請し、今年没後20年を迎えた神代監督の1973年の傑作「恋人たちは濡れた」と「四畳半襖の裏張り」がR18+からR15+へ変更された。審査基準が甘くなったからではなく、同作のエンタテインメント性が再評価されたことや、現在の日本映画界を代表する監督・俳優を輩出したロマンポルノの功績が再認識されたことが一因と考えられる。

 ちなみに、女優の橋本愛さんや臼田あさ美さんもロマンポルノのファンであるらしい。時代を経てようやくその作品性が認められたのは、実に隔世の感がある。

冒頭写真:日活ロマンポルノの名作「恋人たちは濡れた」の絡み場面。(C)日活

日活ロマンポルノ全史―名作・名優・名監督たち
日活ロマンポルノ全史―名作・名優・名監督たち

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする